リバーレース生地の特徴とは?おすすめの使い方やつけ方なども紹介
繊細で優美な表情をもつことから、ウエディングドレスや高級ランジェリーなどに使われることが多いリバーレース生地。
手芸やハンドメイドなどでレースをよく使う方や、レースをあしらったデザインが好きな方にとっても、使われているだけでワンランク上の仕上がりになるリバーレースは、憧れの存在です。
ではなぜリバーレースがたくさんの人を魅了するのか、その理由をご存じですか?
この記事では、リバーレース生地の特徴とともに、手芸などでリバーレースがどのように使われているのか、その使い方とつけ方、取り扱いについて紹介します。
リバーレースに興味のある方や手芸やハンドメイドで使ってみたい方は、ぜひご覧ください。
リバーレースとは
リバーレース(Leavers Lace)とは、専用のリバーレース機を使って細い糸を撚り合わせて作られる美しいレースです。
多くの王侯貴族に愛されるその優美なデザインから『レースの女王』とも称され、もっとも格式の高いレース生地として、オーダーメイドのウエディングドレスや高級ランジェリー、オートクチュールのメゾンなどでよく使われています。
そんなリバーレースの始まりは16世紀。ヨーロッパで王侯貴族の富と権力の象徴としてハンドメイドでつくられていましたが、19世紀初頭にイギリスのジョン・リバーによってリバーレース機が開発され、機械での製造が可能となったことで、一般に浸透しました。
リバーレース生地の特徴
イギリスのキャサリン妃のウエディングドレスにも使われるなど、数あるレース生地の中でもっとも格式が高いとされるリバーレース。
極細の糸をも使用してつくられることから、別名『糸レース』とも呼ばれていますが、どのような特徴があるのでしょうか。
ここでは、リバーレース生地の特徴を紹介します。
芸術性が高い
リバーレースの特徴は、長年受け継がれた伝統と熟練の職人が織りなす芸術性の高さです。
デザイナーのスケッチをもとに設計者が図案へと落とし込み、それをレース職人が多くの糸を操りながらリバーレース機を操作して織り上げていくなど、リバーレースをつくるにはデザインや生産の過程において非常に多くの時間と手間がかかります。
また、レースの表情を決定づけるのは使われる糸の多さだといわれていて、リバーレースには多いもので2万本以上の糸が使われることも。
そうして細かく多くの糸を撚り合わせて複雑な組織を作り上げることで、『糸の宝石』とも呼ばれるほど繊細で美しく、立体感のある模様がなんともいえない優美な雰囲気を醸し出しています。
ここ日本でも、日本の植物をモチーフとしたデザインや日本人の体型に合わせて配置された柄など、ヨーロッパのものとはひと味違う芸術性の高いリバーレースが生み出されています。
アイラッシュ(ヒゲ)がある
リバーレースには、レースの端にフリンジやまつ毛のような糸があります。
これは通称『アイラッシュ』または『ヒゲ』と呼ばれ、リバーレースであることの証ともいえる特徴です。
オートクチュールのデザインではリバーレースであることが分かるように、あえて残しておくこともあります。
このアイラッシュは、リバーレース機を使ってレースを編んでいく工程でできるものであるため、ボビンを使うリバーレース機で織ったレースにしかできません。
ハンドメイドなどでリバーレースを使用する際、このヒゲをカットしてしまってもレースがほつれてしまうことはありませんが、せっかくリバーレースを使うのであれば、残しておくのがおすすめです。
独自の織り機でつくられている
リバーレースは『リバーレース機』という独自の織り機で糸を撚り合わせてつくられている機械レースです。
リバーレース機はイギリスの産業革命の中、ジョン・ヘスコートが開発したボビンネット機(6角形のチュール生地をつくれる機械)をもとにして、ジョン・リバーが開発しました。
開発当初はシンプルなネットを中心に生産されていましたが、徐々に改良が加えられています。
その中でジャカードシステムが取り込まれたことで、太めの糸をライナーとして取り込めるようになったり、複雑なデザインを再現できるようになったりなど、ハンドメイドに近いレースがつくれるようになりました。
リバーレースができるまでの詳しい工程は、こちらをご覧ください。
希少性が高い
リバーレースをつくりだすリバーレース機は、1987年を最後に製造が終了しています。
現在はリバーレース機を所有するごく限られたメーカーでしか生産できないことから、リバーレースは希少性が高いといわれています。
現在、世界に現存するリバーレース機は約700台。実際に稼働しているのは約150台ほどです。
所有するメーカーでは、半世紀から1世紀も前につくられた織り機のメンテナンスを行い、技術を継承しながら大切に使い続けています。
また、機械の操作も非常に難しく高い技術を必要とすることから、大量生産が困難なことも、リバーレースの希少性を高めているといわれています。
高価
リバーレースは高価なことも特徴のひとつです。
これは、リバーレースが機械レースでありながら手作業の割合が多いことに関係しています。
詳しくいうと、使用する糸の本数も多く、機械を操作する作業員やデザイナーにも非常に高い技術が求められるなど、人材育成にも時間とコストがかかるからです。
また、リバーレース機自体が新たにつくられないことも高価になる理由のひとつです。
しかし昔ながらの機械とそれを継承する人の手によって丁寧に作られているからこそ、リバーレースには特別な高級感があり、ウェディングなどの人生で大切な場面で使われるなど、人々に求められています。
産地によって表現方法が異なる
リバーレースは、フランスだけでなく日本やイギリス、アメリカなどでもつくられていますが、以下のようにフランスの一部産地では、モチーフや美しさなどのデザインに異なる表現方法が使われています。
クリュニー地方
フランスのクリュニー地方で18世紀頃につくられた『クリュニーレース』は、手編みのトーション・レースの一種です。
しかしポワン・デスプレを取り入れるなど、模様が簡素なトーションレースと比べて柄や風合いに特徴があります。
シャンティイ
17世紀にパリのシャンティイでつくられたことから、『シャンテリータイプ』と呼ばれるようになったレースで、機械で作られるものはリバーレースとも呼ばれます。
薄手で透明感があり、やわらかみがあるのが特徴です。
リネンやシルクでつくったボビンレースで、細いコードで外郭を縁取っているもののことをいいます。
18世紀に流行した歴史あるレース編みですが、19世紀にレース機が発明されて機械編みに変わりました。
アランソン地方
18世紀後半にフランスの法廷で流行した『アランソンタイプ』のレース。
フランスのアランソン地方発祥で、2番手以上の細い糸でつくられたきめ細やかなメッシュにデリケートで繊細な模様、小さなピコ(レースの端のヒゲ部分)で装飾されているのが特徴です。
リヨン
1800年代後半からフランスのリヨンで使用されていた機械を復活させてつくられているレース。現存する機械は世界にたった3台しかないため、非常に希少価値の高いものです。
ヴィンテージの機械でありながら、最新の技術をもつ機械でも同じようにつくるのは不可能だといわれるほど複雑な編地と、大きな柄パターンをつくることができます。
長時間着用しても快適に過ごせる
リバーレースは軽やかで通気性がよく、長時間着用しても快適に過ごせるのが特徴です。
流れるような曲線と盛り上がった模様が魅力的なことから、ブライダルシーンでもよく使用されますが、ストレッチリバーレースという素材であれば柔軟性も持ち合わせているため、美しくドレープしつつ花嫁の快適な着心地を実現します。
手芸にも!リバーレースの使い方
リバーレースはオーダーメイドのウエディングドレスや高級ランジェリー、オートクチュールのメゾンなどでよく使われる高級レースですが、生地を購入すれば手芸やハンドメイドで使うことも可能です。
ここでは、手芸やハンドメイドにおすすめのリバーレースの使い方を紹介します。
ウエディングドレス・ベール
洋裁が得意な方や手先が器用な方は、ご家族や仲のよい友人の結婚式のために、リバーレースを使ったウエディングドレスやベールを作ってみるのもおすすめです。
リバーレースの生地は他のレースと比べると高価ですが、繊細で優美なデザインは唯一無二のものです。
ウエディングドレスのパターンは、インターネット上で購入してダウンロードできます。ウエディングベールであれば手軽にできる手作りキットを利用するのもよいでしょう。
ランジェリー
既製品のイメージが強いランジェリーですが、既製品だと鼠蹊部の締め付けが気になる方やこだわりたい方は、自分で手作りしてみるとハンドメイドの幅が広がります。
リバーレースの生地を購入するときにおすすめなのが、ストレッチリバーレース。
柔軟性があって伸び縮みするため、快適に着用できます。慣れてくるとショーツ1枚なら1時間かからずに作成可能です。
ハンカチ
友人やお世話になった方へ、リバーレースで縁を飾ったハンカチをつくってみるのもよいでしょう。
ハンカチの素材はリバーレースの繊細さによく合う綿シルクがおすすめです。光沢があり美しく軽やかな生地と合わせれば、適度なボリューム感がありつつも上品なハンカチができ上がります。
ギャザーを寄せてゴージャスに仕上げると、ブライダルハンカチとしても使用可能です。
マスク
ここ数年、マスクの需要が高まり、布製のマスクを自分でつくった方も多いかもしれません。
ハリのある生地でマスクをつくり、表にやわらかいリバーレースを縫いつければ、上品でエレガントなマスクが完成します。
フィルターを当てることで汚れを防いで衛生的に使えるだけでなく、洗濯すれば繰り返し使えて経済的です。
衛生面を考えるなら、市販の不織布マスクに装着できるマスクカバーをリバーレースでつくるのもおすすめです。
カットソー
無地のカットソーにリバーレース生地を縫いつけてオリジナルの1枚をつくれば、シンプルなカットソーがオシャレなおでかけ服になります。
例えば、レースを前身頃に贅沢に使ったり、ポイントとして袖口や裾に縫いつけたりと使い方は自由自在です。
ストレッチリバーレースを選べば、ワンランク上の気品あふれるトップスになるだけでなく、着心地もアップできます。
リバーレースはやわらかいため、敏感な子どもの肌にも安心して使用できます。ペットやお人形の服に使うのもおすすめです。
リバーレースのつけ方と取り扱い
リバーレースは繊細な生地であるため、手芸やハンドメイドで使用する際にどのようにつけたらよいのか、また取り扱い方に迷うこともあるかもしれません。
ここでは、リバーレースのつけ方と取り扱い方について紹介します。
下準備
まず、リバーレースを縫いつける前にアイロンでシワを伸ばして曲がっているところを真っ直ぐに直しておきましょう。
縫い代は始末の仕方によって幅が異なるため、縫いつける前に決めておくことが大切です。
リバーレースのつけ方
布の端にレースをつけるときは以下のやり方でつけるときれいに仕上がります。
- 布の裏柄にヘラで印をつけて三つ折りする
- まち針で押さえながらアイロンで折り目をつける
- 折り目を開いて布とレースの表同士を合わせてしつけをする
- ミシンで縫う
- しつけを取る
- 三つ折りに折り直して再度しつけをする
- 手縫いで裏側をまつる
手縫いでまつるときは、玉結びをした糸を三つ折りの中に通して針先で表地の織り糸を1〜2本すくいます。
そして糸が出ているところの手前の三つ折りの中を通し、3〜4mm先で針先を出して表地をすくうやり方を繰り返すと、糸が三つ折りの中を通るため、仕上がりがきれいです。
リバーレース生地の取り扱い方
リバーレース生地の美しさを保つには、取り扱い方に注意が必要です。
まず、洗濯機でジャブジャブと洗うことはできないため、 やり方で洗うと、繊細さと優美さを損ないません。自分で洗うのが不安な場合は、ドライクリーニングでもよいでしょう。
また、リバーレースは熱に弱いため、アイロンをかけるときは当て布をしたうえで低温でかけ、変色を避けるために直射日光を避けて保管してください。
汚れやほこりがつきやすいカーテンやテーブルクロス、ベッドスプレッドなどは、定期的に掃除機をかけたりやわらかいブラシで軽く払うようにブラッシングしたりして、メンテナンスを行いましょう。
まとめ
リバーレース生地は、オーダーメイドのウエディングドレスや高級ランジェリー、オートクチュールのメゾンなどでよく使われていることからも分かるように、もっとも格式が高く、他の追随を許さないほど美しいレースです。
手芸やハンドメイド好きの方にとっては、憧れのレース生地であるため、自分の作品に使ってみたいと思われている方も多いのではないでしょうか。
今回紹介した使い方やつけ方、取り扱い方を参考に、ぜひリバーレースを生活に取り入れてみてください。
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